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 air 

澤田は《air》シリーズで、air(空気) を作ることに挑戦している。やや唐突なテーマのようだが、この「空気をつくる」という考え方は、澤田が学生時代に教わった「彫刻は物を作るのではなく、物の周りにある空気をつくる」という教えから着想を得ている。

 ところで、これまでの澤田の作品には必ず「工具」という題材が存在していたが、当シリーズでは澤田の象徴的な題材、すなわち、工具の姿が見られない。工具という存在に縛られることなく、広義に「ものを捉え、ものを表す」ことに向き合おうとする澤田の姿勢が読み取れるのではないだろうか。

当シリーズの1 作目となった《air no.1_het Labo atrium》では、個展会場であるhet Labo atrium 内に鉄枠による人工的な「囲い」を作り出すことで、鑑賞者に人間が潜在的に持つ「周囲の環境や場所との関係性」を構築する力を再認識させる効果を狙っている。鑑賞者は、鉄枠により自身が囲い込まれた光景から、自身が存在する場所を確保する行為とし

ての「囲い」=「パーソナルスペース」を改めて認識し、周囲の環境と自身の距離感を図る能力が潜在的に備わっていることに気が付くのである。また、本作は、今回の展示だけではなく、他の場所で再び組み立てることで、完成する。というのも、鑑賞者は屋外やhet Labo atrium よりも大きな空間で、本作の大きさを再体感することで、het Labo atrium の内部に設置されただけではわからなかった場所の特徴をより深く読み取ることが出来るようになるのである。

 澤田は、1 度目の展示と再度行う展示によって、「空気をつくる」という恩師の教えに向き合いながら、新たな作品の展開を模索している。

air no.3
nakanojo biennale 2019
nakanojo biennale 2019
nakanojo biennale 2019
air no.1
air no.1
air no.1
air no.1
air no.1
air no.1
air no.1
air no.2
air no.2
air no.2
air no.2
air no.2

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© 2016 Masaya Sawada