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 supraliminal 

supraliminal》シリーズは、作品というよりは実験的に行う試作的意味合いの強いものである。建築家は建築物を考案する際に、ボリュームと呼ぶマケットを制作するが、それに近い状態といえるだろう。
 当シリーズは、模型を見ている時にふと気が付くと、現実の世界から意識だけが遊離し、虚構の世界に誘われていたという澤田自身の経験から着想を得ている。人間が持つ縮尺に対する既成概念を利用して、人間とモノの間にある大きさの関係性を一時的に隔離し、異なる大きさの関係性を再び認識させることで、鑑賞者を疑似の世界へ誘おうとしているのである。 
 例えば、金槌が目の前に置かれていたとする。通常の状態の金槌であれば、常識的に考えて、叩いて加工する際に用いる工具として認識されるだけであろう。同時に、人間の手を科学的に分析した上で、導きだされた規格の工業製品であるため、金槌の大きさは調度よく、人間にとって扱いやすいサイズに

設定されている。ここで、変化をもたせるために、人間の1/150 スケールの人形を金槌の上に配置したらどのようなことが起きるだろうか。おそらく、人間の人形と金槌の大きさを客観的に見たら、その金槌は、まるで巨人が使う金槌のように認識されるに違いない。つまり、人間は、別のスケールを持つものと同時に展示された光景を見た際に、疑似的な世界へと導かれているのである。一時的にとはいえ、異なる認識をしてしまった鑑賞者は、新たに認識したイメージしか見えなくなってしまう。これは鑑賞者が、いわゆるスプラリミナル知覚という状態に陥っているということである。つまり、本作は人間の知覚的認識の危うさを逆手に取り、意図的に情報操作を行うことで、あたかも、疑似空間に誘われていたような錯覚を鑑賞者に体現させる装置として機能しているのである。

 

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© 2016 Masaya Sawada