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 grid 

これまで澤田の作品は、題材をどのように作品化し
ていくのか、自作における制作工程、すなわち、
①モチーフの選択、②特徴の観察、③制作までの流れを追うことが重要であった。澤田にとって制作工程は、工具を表現する上でなくてはならない要素である。澤田の考えにおいて、素材や作り方が異なるのであれば、生み出された造形物はモチーフとなった対象(澤田の場合は工具)の輪郭線を模した物でしかない。単に輪郭線を模しただけの造型物に比べ、こだわりを加味した上で制作した澤田の作品hは
紛れもなく本物に近いもの、いや、限りなく本物の工具であることは言うまでもない。こだわりを保つことが、結果として自作の完成度を向上させ、実物との同化に繋がると考えるため、自作において制作工程は欠かすことができなかった。
 当シリーズでは、これまでと同様に工具を題材と
しながら、もう一段階、考察を進めた表現方法に挑戦している。当シリーズにおける挑戦は、題材の用途を損なわない、強度とデザイン性を備えた作品を

制作することである。作品の題材となる工具は、工業的にデザインが行われ、人の手に合う形で設計されているため、見た目が同じになりがちである。だからこそ、一目で工具の用途を理解し、扱うことができるのだが、工業製品を模して作家が作品化するという部分に対して、澤田は疑問を抱いていた。販売や流通を目的とした、工具を制作するのではなく、澤田が作家として、工具を制作した場合にどのような作品を提案できるのかという部分を考慮し、工具としての存在意義である「用途」を損うことなく、かつ「デザイン性」に魅力的な表現を《grid》シリーズを通して、垣間見ることができる。

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