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 M.A.S. 

2010年に制作をスタートしたミニチュア・アトリエ・シリーズ(以後、M.A.S.)は、自分が普段の作品制作で使用する工具や工作機械を題材に展開したシリーズの名称である。この世界に存在しているほとんどの工業製品は人間の大きさを基準に比率を定めている。生活をしていく基盤となる「衣食住」社会の核とも呼べる概念がスケール(scale)を元に構成されていると言っても過言ではない。能率や利便性という言葉も、3次元空間で生活している以上は大きさを定義することにより、その意味を発揮する事が可能となる。
 このような考え方を元に「縮尺」をテーマに作品化している自作≪
M.A.S.≫というものがある。≪M.A.S.≫は縮尺表現によって、工具の持つ特有の無骨さを緩和し、スケール観の差異によって生まれる違和感や物が持つイメージ様相が変化する効果を作品の視覚的な面白さとして取り入れた作品である。また、自作≪M.A.S.≫は実物の1/10スケールで制作している。この大きさに設定した理由は、1番頻繁に使用するM2サイ

ズのネジを留める為の下穴加工を材料に手早く行うことが出来るためである。1/10スケールというサイズ設定は、澤田が制作しやすい大きさであると同時に、作品を実物と同じように可動させることができるギリギリに大きさなのである。
 工具をモチーフとして扱う理由は、「ものづくり」の原点を自分自身が再認識することにある。澤田は工具を見ることで、経年変化した工具の姿から先達の叡智を感じ、味わいや関心を抱くのだが、その理由は、様々な用途で使われてきた工具の背景を潜在的に感じ取っているからなのではないかと考えている。そして、その一連の流れは無意識のうちに自分の中に刷り込まれている。つまり、工具をモチーフに扱うことは、自身の境遇を示すことに繋がっているのである。

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